「人はなぜ山に登るのか」「そこに山があるからだ」というのは何となくはわかる。でも「人はなぜ綱を渡るのか」と問われて「そこに綱があるからだ」というのは思考の飛躍がある。だって綱は元々そこにあったわけじゃない。あんたがあんたの意志でそこに張ったんだ。「あらしめた」んだよ。だから僕は山登りと綱渡りは本質的に別のものだと思う。前者は人間の抑え難い本能に浴するもの。後者は人間を人間たらしめている「意志の力」に通ずる何か。ただ両者に共通するのものもあって、それが「ロマン」という極めて中毒性の高いマジックワード。間違ってもこれをアドレナリンの分泌による興奮作用などと言ってはならない。この物語は「ロマン」という怪物に取り憑かれた一人の男と、彼に魅了され、彼と同等同質のロマンを、人生のほんの一瞬だけ彼と共有できた若者たちの物語だ。IMAX3Dの超・非日常体験は癖になるぞ。気をつけろ！
