このレビューはネタバレを含みます
スクープだ。
だが、真実を証明できなかった。
情報源に徹底的にあたって揺るぎない確実なネタにしなければならなかった。相手は大統領だ。ガチガチに固めた爆弾をぶつけなければならなかった。だが、証拠資料のフォントに目をつけられるとは・・・。
スタッフはプロ集団のはずだったが、事実の隠蔽に奔走したであろうブッシュ陣営の方が一枚上手だったということか。それともメアリーの暴走なのか。
ニュース業界は他局との競争に追われている。また選挙期間中でもあって発表のタイミングも早くなければならなかった。この辺りは報道に関わるものの永遠のジレンマだろう。
メアリーが情報提供者とジョン・ケリー陣営との間を持ったのは大きな間違いだった。メアリーの甘さ、というか危うさが所々に現れてハラハラさせられる。チームで肝心な情報が共有されてない。誰もメアリーに突っ込まなかった。やはりメアリーの暴走なのか、スタンドプレイなのか。
当のCBSはじめアメリカのマスコミはこの作品を酷評しているらしいが、真実を証明できなかったものにものを言う資格はないということなのか。
報道番組の制作過程でジャーナリスト個人の政治思想はどこまで反映され、それはどこまで許されるのだろう。メアリーはリベラルと思われていたが、だから何だというのだろう。ブッシュ憎しで仕事をしても真実ならば問題ないはずだ。ただ今回は真実の証明ができなかった訳だが。
ニュース番組制作の裏側がよく描かれていてちょっと怖い。あれでは真実を知っている証人も協力に二の足を踏むだろう。
細かい点が複雑でわかりにくかったのでもう一回観たい。
勧善懲悪、正義は勝つ!というスカッとしたラストではないのでモヤモヤは残るがいい映画を観たと思う。
ケイト・ブランシェットの演技は素晴らしい。
ロバート・レッドフォードもよかったが、もう老けてしまっていたのでちょっと残念。でもまだまだ映画には出演し続けて欲しい。