COZY922

さよなら歌舞伎町のCOZY922のレビュー・感想・評価

さよなら歌舞伎町(2015年製作の映画)
3.6
ひと言で言うと『人生いろいろ』群像劇。ひとつひとつのお話自体は想像の範囲なんだけど、歌舞伎町のラブホを舞台にしたことで、それぞれの人が抱えた事情に、より信憑性が出ていたと思う。やりたいことはこんなことじゃないと葛藤する姿、人には言えない関係、ひっそりと目立たないように生きざるを得ない過去の出来事・・。そこにあるのは不器用で一生懸命な姿なんだけど、どこかコミカルな描写。湿っぽいのに淡々とした割り切りみたいなものも感じる。この街の持つ猥雑で混沌とした何でもありな空気が画面から漂うような作りでした。

ちょっと残念だったのは前田敦子。脱げばいいというわけではないけど、他のキャストが皆、体当たりな演技をしている中で、彼女だけが妙に浮いて見えたと言うか、汚いセリフを吐いてもお人形のようでアイドルを脱していない感じでした。エピソードの中では韓国人カップルの話が一番印象に残りました。

最後のシーン、主人公の乗ったバスの上に広がる空の青さがすごく印象的で、歌舞伎町からの卒業の心象風景として良かったと思います。
COZY922

COZY922