コリドラス

沈黙ーサイレンスーのコリドラスのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.3
まだ信教の自由という概念など無かった江戸時代の日本を舞台に人間と信仰を真正面から捉えた作品。

宗教のために命をかけるって無宗教の自分には想像も出来ませんが、それだけ当時の庶民(農民)は貧しく、既存宗教では得られない救いを求めていたんでしょうね。

隠れキリシタンたちの崇高な信仰心、命がけで異国の地にやってきて布教に勤しむ神父たちの姿が胸を打ちました。

同時に思ったのはキリスト教の広がりに手を焼いていた幕府の焦り(今で言う新興宗教への畏怖)も思いのほか丁寧に描かれていて、とてもよく出来た作品だと思いました。

これでもかと続く残忍な拷問、処刑シーンは思わず目を背けたくなりますが、代官イノウエの肉体を痛みつける拷問ではなく、信仰に疑問を抱かせる心理的な拷問というのはある意味一番残酷なものだと感じました。
実際、精神的な拷問の方が効果があったようですね。

ともあれ日本人として見ておいて損のない作品だと思います。

「あなたの沈黙が恐ろしい。私は祈るが迷う。私は無に祈っているだけなのか?あなたは存在しないのか」
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