ななこっこ

沈黙ーサイレンスーのななこっこのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.5
遠藤周作の「沈黙」をマーティンスコセッシ監督が映画化した本作。祈りを捧げたり、告悔を聞いてくれたり、人間を救う存在である一方で、どんな時でも沈黙している存在、というテーマ。

公開当初に映画館で観て感動した記憶。中学生の頃に読んだ小説で気に入っていて、映画化するという事で嬉しかった。

基となる話は小説だけど、キリシタンの弾圧は実際にあった事だからリアリティがあって、目の前で行われているのを見ているような感覚があった。

踏み絵を踏んでしまえば命は助かるけれど、神を信じる気持ちがそれを許さない。さまざまな拷問が作中でも描かれていて、今の時代から考えると宗教に政府が異を唱えて殺すなんて信じられないと思った。

「転ぶ」という、背信行為を表す独特の表現が印象的。その一つの言葉の中に、政府が脅して仕向けている事なのに、あくまでも自らの意思でその行為を選んだ事、大切にしていた宗教を棄てたことに対する侮辱、さまざまな意味が込められているのがいかにも日本っぽい。聞くたびに苦しい気持ちになった言葉。

どれだけ神に祈っても、何も答える事なく信徒を次々に見殺しにするしかない。かといって背信したら自分の信念を否定して余生を過ごしていかなくてはならない。そこまでして宗教を大切にするべきなのか、人間の弱い部分と宗教の大切さをよく理解できた。

キャストがとにかく豪華!キチジロー役の窪塚洋介めちゃくちゃ見応えのある演技だった。キチジローこそが人間だよねと思って見ていた。
アダムドライバーも最後まで自分の信念を貫き通しててかっこよかった。
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