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沈黙ーサイレンスーのsanchangのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
3.7
信仰ってのはすごい。多かれ少なかれ、人は何かに救われながら生きている。それは家族であり、友人などの他者の場合もあれば、仕事、芸術、そして宗教であったりする。信仰にコミットしない我々からすると、宗教は最も実態のないものであり、なにか恩恵があったとしても対象から直接享受できるものではない(ように見える)。いくらイメージしようとしても、とにかく不合理でしかない(ように見える)。本来は救われるための信仰なのに、現世においてはいくら苦しんでも神は現れず、言葉すらかけずに沈黙を守る。信仰者は自らの死を前にしても神の沈黙を受け入れる。そして信仰をやめない。なんのために?現世で救われることを前提としていないだけでそこまで信仰できるものなのだろうか。黙する神を前に、なぜ信仰を捨て去ることができないのか、私の立場からはとにかくそれを言いたくて伝えたくて理解できなくてしんどい映画だった。
宗教を軸に人間の深淵にとても効率的に迫れる「神の沈黙」をテーマにした映画。しんどい時間ではあったが、その分の面白さは保証します。
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