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沈黙ーサイレンスーのだだだのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.5
映画館で観てよかった。
原作を読んだことはなく、信仰心ももっていない。Session 22というラジオ番組で隠れキリシタン(学術用語的には『潜伏キリシタン』だそう)をテーマに扱っていた回を聞いてから鑑賞した。※ちなみにその回はモキチ役の塚本晋也さんがゲスト出演されていた。興味のある方はぜひ→http://radiko.jp/#!/ts/TBS/20170202235105

観ただけでは感じ取れていない部分もあり、こちらのレビューを拝見してまた色々な気持ちがこみ上げてきた。

鑑賞前は、取り締まる側に対してキリシタンであることを隠す意味での「沈黙」と捉えていたが、より深い意味のある題だった。パードレが繰り返し問いかけた神の「沈黙」、現実に適応して生きることを選択しつつ心に持ち続けていた信仰心の「沈黙」。後者はレビューを読んで気づき、心にまたずっしりと来た。最後に語り手が変わるのも、ロドリゴの持ち続けていた信仰心の沈黙を際立たせるためかもしれない。

キリスト教が生まれた頃は、自然に対する畏怖が今とは比にならなかったと思う。人間の力でどうにもできないものに相対したとき、現世で明るい未来を描けないとき、来世で救われたいと願い祈っていたなら私の感覚でも理解できる。
でも自然現象の解明が進んだり、今の生活をよくする現実的な方法を見出すことができたら、「じゃあ何のために祈るの?」って疑問が出てきそう。そのような疑問を持たず純粋に信じ続けて殉教した人もいれば、現実により良い生活を送ることを求めつつ罪悪を赦してもらいたい人もいる。
それぞれの思うように信仰すればいいと はたから見たら思うけど、教えを伝える者として、そして自分自身強い信仰心をもつ者として、パードレの苦悩は計り知れない。

それにしても、信仰するとはどういうことなのか想像が及ばないのが残念。知識もないので、原作を含めて関連する本など読んでみたい。
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