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沈黙ーサイレンスーのmsdのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.0
あくまでキリスト教側から描かれた物語であり、隠れ切支丹の物語ではない。
恐らく、隠れ切支丹となった人々にとってそれはキリスト教でなくても時代や国が違えば浄土宗やユダヤ教になっていただろうし、当時の幕府にとっては統治におけるスケープゴートとしてキリスト教が都合がよかったのであろう。
そしてキチジローの言葉を借りるなら、弱い人々にとっては教義が重要なのではなく、何かを信じることが必要だったのではないか。
不条理な世界においては、信仰によってしか生きる意味を見出せないのかもしれない。
砂漠の民が一神教を生み出したように。
何れにせよ、善意による行いの結果が誰しもに善になる訳ではない。

それにしても皮肉にもこの数百年後には、キリスト教徒達が仏教・禅がナウいってことで改宗ブームが起こるなんてこの宣教師達には信じられないだろう。
まるでカート・ヴォネガットが描く物語のよう。
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