天然パーマのとおる

パラサイト・クリーチャーズの天然パーマのとおるのレビュー・感想・評価

2.8
これは「遊星からの物体X」のスピンオフ作品かな(笑)

「遊星からの物体X」みたいな内容を、遊星当時と同程度のクオリティで作った愛に溢れたSF作品。エイリアンとか70-80年代のSF映画で観たような古典的表現をたくさん見ることができる。単純な手仕事の細かさとして観れば割と面白いし、もはや懐かしい表現技法に感動さえ覚える(笑)

駄作や二番煎じと評されているけれど、実はものすごく挑戦的な作品なんじゃないかなとも個人的には思っている。

古典的表現を使うことが、CG多様の現代映画へのアンチテーゼとして考えれば、実はストーリーと別な意図が映画の中に隠されているのかもしれない。古典的表現と現代のクリアな画質が合わさったとき、そこには割と斬新な表現が生まれている。クリアな画質(本来の人間が感じる視界の透明さ)に混じる、不自然な技法(異質)っぽさ。
ノイジーな画質と古い技法の組み合わせは当たり前。クリアな画質と最新CG技術の組み合わせも当たり前。「古い技法」と「クリアな画質」という対局に位置するものを組み合わせることで、もしかしたら恐怖の演出にそのギャップを利用したのではないか。
クリストファー・ノーラン監督もCG嫌いで生な技法にこだわるけれど、本作はまた違うベクトル。本作では古い技法を古いまま使う。映画が築いてきた"歴史"の中にあるアイコン化された「怖さ」をそのまま使うという、実験的要素のもと作られた作品なんじゃないかなと。

でも、これ観るなら「遊星からの物体X」観た方が良い(笑)