白くま

ドローン・オブ・ウォーの白くまのレビュー・感想・評価

ドローン・オブ・ウォー(2014年製作の映画)
3.9
戦争とは、結論から言えば相手の命を奪って国力や何やかやを減らし、相手の心と魂をへし折る行為だと思うんだが、そこには生身の人間達の血と汗と涙が流れるから戦争たりえていたのだとも言える。

だけど最新の戦争には、圧倒的に片方の流れる血が欠落している。

肉体が傷付かない代わりに、無知で善良な一般市民の精神だけが死んでいく。
真面目で敬虔な者から先に魂が壊れて行く。

二匹の蛇が互いの尻尾を喰いあって、永遠に終わらない泥沼の地獄を生きているような、血や汗が流れない代わりに、本当に大切な物が永遠に奪われて行く。

倫理も神もそこには居らず、彼らは行ったことのない不毛の地に、心臓だけ置いて消えて行くようだった。
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