影山影司

ドローン・オブ・ウォーの影山影司のレビュー・感想・評価

ドローン・オブ・ウォー(2014年製作の映画)
4.0
アンドリュー・ニコルは天才だ。
ロード・オブ・ウォー、ガタカでそう思っていたが今作もやはり半端ない作品だった。

全編通して地味な映画だ。戦争映画らしい派手な銃撃戦もドッグ・ファイトする戦闘機も出てこない。助手とともに淡々とレーザー照準、セーフティを外し、ミサイルを撃ち、セーフティを戻し、戦果報告を繰り返す主人公が描かれる。劇的な事件が起こる訳ではない。ゆっくりと着実に精神が壊れていく主人公が描かれる。酒を飲むシーンは多いが、酩酊して前後不覚になる訳ではない。家庭内に不和が生まれるが、修復不可能なほどではない。ゆっくりと着実に薄暗い雰囲気になっていく主人公が描かれる。そこに劇的さはなく、ただただ砂漠を歩くように消耗する姿が描かれる。

ラストに関して否定的な意見が多いが、「解決策なんてないんだよ」という監督からのメッセージのような気がする。作中で繰り返し言われたように、テロリストを殺すことが米国人を守ることに繋がるのだ。だが、テロリストを殺す米国軍人を本当の意味で守ることは出来ないのかもしれない。
影山影司

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