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ドローン・オブ・ウォーのuzのレビュー・感想・評価

ドローン・オブ・ウォー(2014年製作の映画)
3.8
見てるうちに「アメリカン・スナイパー」を思い出しました。
あの作品も戦場で活躍する男がPTSDに蝕まれていく様を描いた作品でしたが、「ドローン・オブ・ウォー」の主人公トミーはそもそも対テロ戦争の前線に自らの身を置くこともなく、ゲーム機のような画面越しに任務を遂行し、交代の時間になれば家族の待つマイホームへ帰っていきます。

自軍側の被害を無くすために導入されたドローン戦闘機により、トミーたちは日常的に命の危険を感じることなく淡々と任務を遂行していきますが、その手が確かに人の命を奪っているという精神的ストレスからは逃れられず、また任務は機密事項ゆえ家族に胸の内を話すこともできず、トミーは追い詰められていきます。

トミーは元々戦闘機乗りとして空軍に入りましたが、戦争の「進化」により、戦闘機は無人化され、殺戮を行うための操縦桿のみが彼の手に残されました。
もはや戦場はトミーのような戦闘機乗りを必要としておらず、新たなドローンの操縦士もゲームセンターでスカウトされるようです。
台詞のみでさらっと流れる部分ですが、見ていて一番ゾッとしたのはここです。
最早特別なスキルを必要とせず、誰でもすぐに「軍人」になれるのかもしれません。
なった後にどうなるかは、さておき。

ドローンが戦場で使用されることの是非についてはこの作品中で結論が出ることはありません。
ただ現実に起きていることとして描かれるのみです。
無差別に人を殺すのではテロリストと変わらないではないか、という反発も「手を止めれば報復が始まる。こちらの犠牲者を出さないためには、戦争が終わる日まで殺し続けるしかないのだ」という論理でねじ伏せられてしまいます。

戦争を知らない我々の世代ですが、最早ライフルを担いでドンパチやるのはゲームとスクリーンの中だけになりそうです。
そんな最新型の戦争を知り、考えるために最適の一本となりそうです。
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