Miver2

わたしに会うまでの1600キロのMiver2のレビュー・感想・評価

5.0
渋谷アップリンクで観て来ました。

たった1人で3ヶ月間、1600キロを歩くこの物語。
時間軸を使って現在と過去を交差させながら、険しい未来のその先へと踏み出して行くその姿は、険しい山道を突き進んで行く姿とそこに纏わるエピソードがどうしようもなく魅力的で凄く面白かった。

美しい自然と雄大な景色の元で生きる人間の姿は愚かで悲しくて時に残酷で。
でも同時に神聖で儚くて、愛おしい、奥床しさを物語の中で感じさせてくれる。
生きてる限りは未来があって、それは険しくても前に進まなくてはならないって事なのだなとこの映画を観て思った。

しかしロクデナシだったその主人公の姿は険しい山道を歩いて行く中で魅せるその姿は時に素敵で、時に醜かったりするその姿に何故だか物凄く惹きつけられるんだよな。
そして観ていて心をしっかりと掴まれていた自分がいた。

主人公の母親が登場する場面では、母親の温もりや愛情をたっぷりと感じる。
そして旅の途中で出会う様々な男性陣の姿が人それぞれなのが観ていて面白い。
物語は多くは説明せずに、シンプルにその行間や間合いを保ちながら、そこに余白を残しながら描いていたように思う。
それが凄く良かった。
あとこの映画は音楽の使い方が凄く良くて、印象的な場面が沢山あったな。
それで物語が深まって行ったり、物語が終わったその先の物語を観たくなる。
何よりも主人公とその物語がどうしようもなく魅力的で、完全に打ちのめされた。

今んとこ、今年の洋画で一番の作品。
文句無しに素晴らしい作品でした。
Miver2

Miver2