sheilaE

わたしに会うまでの1600キロのsheilaEのレビュー・感想・評価

4.0
ひさしぶりにいい映画を観た。

どう生きたらいいのか
なにが欲しいのか

わからなくなった主人公が
ひとり荒野を歩く旅に出る話。

流行の「自分探し」みたいな
余裕はなく

落ちるとこまで落っこちて
この下、奈落ですってところで
はっと気づく。

歩く本人はまったくの素人なもんで
装備も不要なものをたっぷり詰め込み

靴もたぶんピッタリサイズを買ってしまったのか
歩くうちに靴擦れして爪がはがれる。

勢いで始めたもののすぐに後悔し
崖の上で悪態をつき
靴を放り投げるところから物語が
始まる。

なにもない荒野を歩きながら
いろいろなことを回想し
その回想から主人公のこれまでを知る
という形で進行する。

自分の人生は
ここまで壮絶でも波乱万丈でもなかったが
激しく共感し、涙が止まらなくなった。

もはやどこにいても
スマホで世界に紐づけされている。

紐をぶった切って
すべてほうり投げて

誰もいない茫漠の地をただ歩く
目的は歩き終わることだけ。

そのうちに視点は俯瞰になり
自然と浄化されていく。

旅のテーマとして要所要所で
「コンドルは飛んでいく」が
流れると涙があふれてくる。

主人公の母役のローラ・ダーンが
見事。

主人公役のリース・ウィザースプーンは
なんだか印象がガラリと違っていて

本当にリース?とか思って見てましたが
小鼻の膨れっぷりで
あぁ確かにリースだわ、とわかった次第w

「悲しみはいつかちがうものに変わる」

おすすめです。
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