春

キャロルの春のレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.2
 分かってたけど幸と辛の波が容赦ない。途中途中の他人(2人以外)との会話の中での何気ない言葉が性的マイノリティの「可視化され得ない差別」が根深い理由をこれでもかと思い知らされてズキズキする。裁判を通して繰り広げられるキャロルの扱いが見てられない。法の中での性的マイノリティの立場は本当に弱いんだとただ現実を突きつけられるのが辛い。
 LGBTQ+に関する議論の中で法を変えることの重要性は日々語られているが、本作は台詞が全体を通してそこまで多くない分そこに焦点が当たった時に当事者側のリアルな感情を繕うことなく見せてくる。それが演出的に押し付けるようなものではなく、ストーリー下に確実に散りばめられていて、目を逸らしてはいけないと思わせるものだったから尚良かった。
 キャロルとテレーズの関係性すごく羨ましく感じて…。「話が通じるから一緒にいるんだよ!」って台詞が個人的に好き。何となく”富裕層”と”一般市民”としても対照的に描かれてるのかなと思ってたけどテレーズも”一般市民”にしては生活レベル割と高い面が所々見えてよく分からなかった。”一般市民”とは…。
 私は性的マイノリティについて扱う作品は所謂バッドエンドもハッピーエンドもどっちも見るタイプだけど本作は監督のこだわりが凄くあったように思えて最後まで凄く好きでした。美術面でも全体的に心躍る作品だったのが良かった!クリスマス最高!クリスマスの作品を夏に見るのも良いけどクリスマスが近づいたらまた見たいな…。
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