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キャロルのspacegomiのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.5
曇ったガラス越しの視線、都市の喧騒の中で交じり合う視線、丹念に積み重ねられる切り返し。とても21世紀の映画とは思えないクラシカルな佇まい。
50年代NYへの愛に溢れた恐ろしく端正な美術や色彩は、折り合いのつけられないあらゆる関係性を浮き彫りにするが、だからこそ、2人の絡み合う視線、触れ合う指先、その一瞬一瞬が絵画のような美しさを秘めている。これほど時間よ止まっておくれと叫びたくなったのも久しぶりだが、人と人との関係性は絶えず変化し続けるし、「私たちは醜くないはず」という信念をもって前に進み続けるしかない。
上品で艶やかなメロドラマでありながら、表情の変化や視線の交錯は非常にスリリングである。探偵のダーティぶりも素晴らしい。ルーニーかわいすぎんよ。テン年代ベスト。
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