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キャロルのTAKAのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.2
2016.5.6 塚口サンサン 1番

・出会い、別れ、愛し合ったこと、全てが必然。
・美しい。ただひたすら美しい。


冒頭部分を含む全てのシーンに於いて、映像と音楽とが一体となって物語世界を構成している。この映像でなくてはいけない。この音楽でなければいけない。

ルーニー・マーラーとケイト・ブランシェットも同じ。顔貌、表情、服装まで全てが必然に満ちている。
キャスティングが素晴らしい。

特に、ルーニー・マーラーの透明な美しさに驚いた。これまでは、確かに美しい女優だけど、端正過ぎてインパクトに欠けると思っていた。しかし本作で、それが役者にとって強力な武器と成り得ることがよく判った。まさにカメレオンの保護色のように表情が次から次へと移り変わっていく。

物語の冒頭自分に自信がなく将来への漠とした不安を隠しきれない少女の表情、自我に目覚めはじめたときの凜としたまなざし、キャロル(ケイト・ブランシェット)との愛を確認したあとの満ち足りた表情。素晴らしかった。
ケイト・ブランシェットも然り。気だるい雰囲気と眼差しが、テレーズ(ルーニー・マーラー)への愛を確信して愛情をもった眼差しに変わっていく。そして愛を知って弱くなっていく。

背景も含めた全てを自然に表現して納得させる演技。俳優って凄いなと改めて感動した。

キャスティング、画像、音楽、演技、全てが一つになって、何一つ欠けることが許されない、すべてが必然の素晴らしい作品が出来上がっていた。
美しい、ひたすら美しい時間が過ぎていった。

・・・かなり誉めたけど(いやホントに感動して堪能したけどf(^_^;)、本作自体、普遍的に感動的な作品がどうかは好み次第かと思う。だけど本当に演技に感動したので、良作基本ポイント4点に演技感動加算+0.2で4.2点。

余談ですが・・・
鑑賞中、頭のなかで結構長い間、山下達郎さんの「甘く危険な香り」がリプレイされていた(甘く 危険な 愛の 香りよ♪)。テレーズとキャロルが同じ香水をまとってじゃれてるシーンとか、頭のなかでMAXでしたf(^_^;

追伸。塚口サンサンさんって本当に有難いです。「しまった!見逃した!!」ってときも、大体上映してくれます。スタッフさんにも映画愛が感じられて凄くいいです。My Favorite映画館の一つです(^_^)
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