宗教画の世界で怪獣達が暴れ回るのを愛でる作品。
人智の及ばぬ現象・生物を魔法や神と呼称するならば今作の出来事は神々によるハルマゲドン。圧倒的な映像美と迫力に酔いしれる事は間違いなし。人間はなんとちっぽけなのだ。と、絶望すら覚えます。
しかし、私のゴジラ愛というものは軽薄なもので。小学生の頃にキングギドラにビオランテ、デストロイヤを見、近年になって初代ゴジラや前作ハリウッド版ゴジラ、シン・ゴジラを観てキャッキャしてる程度のものです。
どんなに美しい宗教画を観ても、元となる聖書の内容を知らなければ本質的な美しさは判らない。それと同じような感覚を今回のゴジラでも感じ、私は純粋に楽しめきれない気持ちが発生してしまいました。
故に、拠り所として物語へ気持ちを運ぶのですが、怪獣達が暴れるための作品には当然に物語なんてものはあってないもので、登場人物たちの誰にも寄り添えず仕舞い。
つまるところ、ハリウッドの溢れんばかりのゴジラ愛に私は勝手にたじろいで置いてけぼりを食らった次第です。
この『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』はゴジラ・怪獣愛が試される作品かと。
ただし、宗教画的な戦闘シーンと壮大なる音楽の掛け合いは最高なので劇場で観なければならない作品でもある。