常冬大陸

ハッピーボイス・キラーの常冬大陸のネタバレレビュー・内容・結末

ハッピーボイス・キラー(2014年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

どんなにアンハッピーな出来事もハッピーだと言い切り皆で歌い踊り続けるような幸福を期待してワクワクドキドキしながら映画館へ行った。が、見事に裏切られた。本当にハッピーなのは序盤だけ。どんどんハッピーはアンハッピーへ。物語が進むにつれ、どんよりとした不安と悲しみばかりの重い空気が蔓延して行く。
エンディングは確かにハッピー。タイトルの「ハッピー」部分がすっかり消えた終盤で、「ほらほら!やっぱりハッピーでしょ?ね?」とでも言いたげな、オマケ程度のハッピー。これぞ幸福!だとも言えるが。
観終えたその日は落ち込んだ。ありったけの幸福を期待したのに不幸のどん底の様な気分にされたのだから当たり前だろう。(期待のしすぎなのも悪いが。)
しかし、3日程経ったある日、ある変化が起きた。きっかけは、一緒に映画館へ行った友人と話していたとき、この映画の話題になった事。その友人もおおかた私と同じような感想だったので、チクショウ、あの映画にはやられたよな、という話になった。
話をしているうちに映画のあらゆるシーンが、あの日と同じように、鮮やかに頭の中に思い出されてきた。しかし、それを観ている私は、あの日と何かが違う。ラストシーンの、ジェリー……ジェリー………と呼ぶあの声が頭にそっと……優しく……そう、優しく!!優しく響き渡ったのだ。途端、その声が悲しいほど懐かしく、愛しく思えた。できる事ならば今すぐに、もう一度その声を聞きたい……お願いだ……名前を呼んでくれ!!そう思った。その時からじわじわと、あの映画の全てが愛しくなり始めた。あんなに嫌だったどんよりアンハッピーな終盤がまだまだハッピーな序盤より好きになってしまった。早くもう一度観たい。エンディングなんかエンドレスリピートしてやる!!
思うままに書いていたらこんなに長くなってしまった。しかし、まだまだ説明が足りない部分もありそうだ。また書き足すかもしれない。ここまで読んでくれた方、もしも居たのならありがとう。
私と同じ期待をして観る人には裏切られて欲しいので、ネタバレありとする。
常冬大陸

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