ライアン・レイノルズ演じる主人公ジェリーの正気と狂気を往き来する、ポップでブラックなゴアスリラーコメディ。
精神科でセラピーを受けつつ一生懸命働く青年のジェリーは、同じ会社の女性従業員に片想い中。
彼女とお近づきになりたいジェリーは、主治医に心境を語り、ペットの犬と猫とも“話し合う”のだが……。
単なる“アート寄り不謹慎”とも言いがたい、絶妙の重さと娯楽性の兼ね備え方をした珍作。
主人公の正気と狂気をシームレスにシフトしていく描き方がコミカルかつ恐ろしい。
それゆえ観ているこちらも、
ナンセンスだが考えさせられる
同情しそうになるがやっぱダメだろ
等、気持ちが振り子のように揺さぶられ、感情を右往左往させられながらの鑑賞となっていった。
更に、作品に一貫したポップなノリが感情のカオスに追いうちをかけてくる。
個性的で“キャラ立ち”しまくった登場人物達も魅力的で楽しい。
深く考えずブラックコメディとして笑ってライトに楽しむ事もできれば、センスに打ちのめされたり、ちょっと考えたりもできる。幅広いスタンスの人が楽しめる作品だと思う。