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ギリシャに消えた嘘のmizunoのレビュー・感想・評価

ギリシャに消えた嘘(2014年製作の映画)
3.5
ヴィゴとギリシャ。なんて素敵な組み合わせ!絵になるに決まっとる!でもなんだかミステリーぽいし他のキャストはキルスティン・ダンストとオスカー・アイザックという重たーい目許の二人だしこれは元気な時でないと厳しそうだ。…と、思い寝かせておいた映画。漸く観れた。



結論から言うと、全く難しい話ではなかった。富豪の夫婦と若い詐欺師の珍道中を描いたとても単純なサスペンス。なんだけれど、妙に含みがある。それはひとえにヴィゴの存在感が重厚すぎるからだ。正直この役に彼はミスキャストだと思う。薄っぺらな強欲男の愚かさがあまり見えてこない。ヴィゴフィルターを通すと、特に何もなくても何故か翳りがあるように見えるのだ。別にないのに…。かつて「リプリー」で死ぬほど憎たらしい役を演じているハズのジュード・ロウが魅力的過ぎてうっかり映画の味わいを変えてしまったことがあった。あれに似ている。ヴィゴがあまりにも素敵なもんで、深みが出てしまった。出てはいけないコクが出てしまった。そしてその味を映画自体が活かせていない。肩透かしを喰らったような、なんとも残念な余韻が残る。変な映画だった…。



とは言え、ヴィゴファンとしては滅多にお目にかかれない小ギレイな彼の姿にトキメかずにはいられない。白いスーツと帽子がなんとまあお似合いなこと!一流品を身につける一流な男に目が眩んだ。妻役キルスティン・ダンストもクラシカルな装いがよく似合っている。たまにものすごいブスになるところも良い。その歪みが面白い。そしてオスカー・アイザック。なんだろうな彼の魅力は。どちらかと言うとフェロモンムッファー顔なのに妙に乾いた素っ気なさがあって良い。好きになりそうな予感…。
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