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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックスのRのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2017年のアメリカの作品。

監督は「ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結」のジェームズ・ガン。

あらすじ

ロナンの計画を阻止し、銀河の平和を救ったはぐれ者集団「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」。ある日、彼らはソブリン人の女王アイーシャ(エリザベス・デビッキ「ピーターラビット2 バーナバスの誘惑」)からの依頼で思わぬ窮地に陥る。その危機を救ったのはなんとピーター(クリス・プラット「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」)のじつの父親であるエゴ(カート・ラッセル「クリスマス・クロニクル PART2」)だった。

みんな大好きMCUのはぐれ者集団「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の「VOLUME2(邦題のリミックスとは呼びたくない!つか、最新作を機にしれっとVOLUME2に戻しては?)」。最新作の公開を前に再履修ということで再鑑賞。

お話はあらすじの通り、前作の製作から3年(作中の時間軸はわからないが)経っていることもあり、ガモーラ(ゾーイ・サルダナ「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」)もちゃんとみんなを仲間として認識してるし、ロケットはブツクサ言いながらもそれなりに協調性を持って行動してるし、ドラックス(デイヴ・バウディスタ「ノック 終末の訪問者」)は前作の冗談が通じないキャラから自らの発言で笑うガハハ親父になってたりとチームとして冒険を共にしてきたグルーヴが伝わってくる!

何より、前作のラスト、自己犠牲的な行動でみんなを守ったことで亡くなってしまったグルートの亡骸の小枝が成長したベビー・グルートが登場!!前作の大人グルートもそのでくの坊感が可愛かったけど、今作はマスコット的に可愛い!!

そして、そんなパワーアップしたガーディアンズがまずかましてくれるのが前作でも最高だったオープニング!!何やらタコ型のでっかいモンスター相手にクイル、ガモーラ、ドラックス、ロケットはジェット噴射と銃を乱射しながら勇ましく戦っている傍らでアンプを繋いだベビー・グルートがエレクトリック・ライト・オーケストラが歌う「ミスター・ブルー・スカイ」でノリノリダンサブルに踊りまくっていて、もうまさにキタキターという高まりと共に思わず観ているこちら側もリズムをとりたくなる高揚感!!

もちろん、これ以降もエゴの惑星に向かい、降り立った際の新世界感を盛り上げるフリートウッド・マックの「The Chain」やジョージ・ハリスンの「My Sweet Lord」、ピーターとガモーラのダンスシーンで前作と負けず劣らずのロマンチックを演出するサム・クックの「Bring It On Home To Me」、エンディングのディスコナンバーのパーラメント「フラッシュ・ライト」などスペース・オペラ+往年のポップナンバーという試みを発明した監督のセンスは爆発している!

で、前作、人間に近い宇宙人が赤や黄色や青色のカラフルなエイリアンとして登場していたけど、今作ではなんと顔が金色のソブリン人が登場笑。で、そんなソブリン人の女王アイーシャが指揮する無数の戦闘機に襲われて大ピンチに陥るガーディアンズなんだけど、そのピンチを救ったのが前作のラストでも登場が示唆されていたクイルの実の父であるエゴ。

どうやら、宇宙の誕生から生き続けてきた「天界人(セレスティアル)」という人種らしく、自分の惑星から一定期間離れられないという特性からクイルの母メレディス(ローラ・ハドック「ダウントン・アビー/新たなる時代へ」)と死別、その後利害関係にあるクイルの育ての親ヨンドゥ(マイケル・ルーカー「アウト・ロー/ギリ義理ファミリー」)に依頼し、地球からクイルを連れ去るものの、その後の行方はわからなくなり、ずっとクイルのことを探していたという経緯がわかってくる。

で、エゴがセレスティアル…ん?セレスティアルといえばフェーズ4のチート集団「エターナルズ」を作った神々もそんな名前だったなぁと思うんだけど、今作でもあちらでも名言されていないけど、まぁ後々の変貌を思うとなるほど「規格外」で「胡散臭い」部分で共通する。

で、そんなエゴとの邂逅もあり、ひとまずミラノ号を修理するチームとエゴについていくチームに分かれるわけなんだけど、ここでは更に各キャラそれぞれのパーソナルや関係性に深堀がなされている。

特に前作以上に魅力的で人間らしくなったドラックス、上述の通り、前作であった復讐心が抜けて、いい意味で「おバカ」になっているんだけど、マンティス(ポム・クレメンティーフ「サンダーフォース〜正義のスーパーヒロインズ〜」)とのシーンでその内には亡き家族の喪失の想いもずっと抱えており、だからこそ必要以上に明るく振る舞っていることがわかると非常にグッとくる…。

で、後々メンバーとなっていく新キャラたち!上述のポム・クレメンティーフ(すげぇ、名前)演じるマンティス、その名の通りマンティス=カマキリを彷彿とさせる触覚と大きな黒目が特徴的なキャラなんだけど、天然キャラとしてドラックスとの絡みが最高に笑えるんだけど、「共感覚(エンパシー)」によって人の心を読んだり、癒したりできるヒーリング能力を持っており、上述のドラックスのシーンでは彼の内なる哀しみに触れ、一筋の涙を流すシーンはエモさに溢れる美しいシーンで印象的。

また、前作ではガモーラの妹にしてライバルでもあったカレン・ギラン(「デュアル」)演じるネビュラ。今作では果物関連の「熟れた」「熟れない」のくだりだったりとコメディ要素も増えつつ、なんだ結局姉ちゃん大好きなんじゃん!とガモーラとの関係性萌え爆発なキャラクターにもなっており、今作で前作の敵キャラから一転して魅力的なツンデレキャラクターになっていて面白い。

あと、前作ではちょい役だった監督の実の弟でもあるショーン・ガン(「サラリーマン・バトル・ロワイアル」)演じるクラグリン。エンドロール後ではヤカの矢を受け継いでたけど、3では使いこなすかっこいい姿が見えるのかなー笑??

で、そんな新キャラも交えつつ、エゴとのひと時の「親子の時間」を満喫するクイルなんだけど、実はこのエゴ、とんだクソ野郎で宇宙全体を飲み込む「拡張」を目的としており、メレディス以外にもあちこちの惑星に分身を植えつつ、様々な種族と交配をしていたという数多の芸能人もびっくりの不倫は文化野郎だった!ということがわかってくる。

しかも、その正体は惑星そのものという強大すぎる存在。血のように真っ赤な惑星そのものにエゴの顔がついてるのも恐ろしかったけど、華やかなエリアの内部ではかつての自分の子どもたちの骨が無数に転がっているというショットがめちゃくちゃショッキング。マジで「ユートピア/ディストピア」という部分でモジャ公の「天国よいとこ」を彷彿とした宇多丸さんの言っていることがよくわかる。

で、そんなエゴ、クイルを懐柔しつつ、結局のところ「拡張」のための「予備バッテリー」としての存在価値しか見出していないんだけど、「生みの親」がそんなクズな一方、「育ての親」は?ということで今作で大活躍するのがヨンドゥ。

序盤ではかつてラヴェジャーズの伝説的リーダー、まさかのシルヴェスター・スタローン(「サマリタン」)本人が演じるスタカーにチームを追放された過去が明らかになったり、部下であるテイザーフェイス(クリス・サリヴァン「ハイウェイの彼方に」)の裏切りにあって、仲間を殺されたり、自身もボッコボコにされたりと散々なんだけど、パワーアップした頭のフィンがドデカモヒカンヘアーになると、前作ではちょっとだけだった「ヤカの矢」を使ったアクションシーンを披露!!

ジェイ・アンド・ジ・アメリカンズが力強い歌声とハーモニーで歌う「Come A Little Bit Closer」をバックにそれまで散々酷い行為をしてきた裏切り者たちを一瞬で屠っていくスタイリッシュさ。前作の早技に加え、今作では宇宙船内部の上下左右に縦横無尽にヤカが駆け巡り、敵がどんどん落下していく大殺戮シーンやかたや監視カメラ映像越しの遠隔でキルするヨンドゥと近距離で銃をバンバンぶっ放すロケットを上からの構図でグルートを含めた3人ではしゃぐ姿を捉えたエレガントさすら感じる名シーンなど更にパワーアップした形で見せてくれる。

で、そんなヨンドゥ、後半ではガーディアンズと合流、マンティスやネビュラも含めた新旧メンバー交えてのヒーロー集合ショットのかっこよさもあるんだけど、エゴの脅威に晒されて、他のメンバー共々窮地に陥ってしまう。

当のクイルもエゴの触手に突き刺されて、エネルギーを奪い取られて大ピンチ、もはやここまでか…というところでヨンドゥの言葉によって我にかえるんだよね。

「生みの父親」であるエゴが「永遠の命より意味のあるものがあるのか」と恫喝するのに対してヨンドゥの言葉で「頭を使わず、心で考えた」クイルはそれまでの道のりの中で亡きお母さんと大好きな音楽を聴き、ドラックスとたわいもないバカ話で笑い合い、ロケットやグルートと青空の中で空を飛び、ガモーラと最高にロマンチックな時間を、そしてヨンドゥとかけがえのない時間を過ごした「人と人との繋がり」にこそ意味があることを悟り、覚醒する。

もう一度流れるフリートウット・マックの「The Chain(繋がり)」をバックにエゴに匹敵する神のパワーを手にしたクイルとエゴとの「銀河の命運をかけた親子喧嘩」になだれ込んでいくカタルシスも含めてマジでぶちアガる!!

ただ、エゴもグルートのファインプレーもあり、倒された後、エゴ自身だった惑星が滅びゆく中、残されたクイルのもとに単身助けに戻るヨンドゥ。仲間の元に戻るための救命具は一つしかない、それでヨンドゥはクイルに命を託すんだよね…。

それまでは常にお互いいがみあい、ピーターと愛憎半ばする関係性を続けてきたヨンドゥだけど、最期に見せるその姿は最高に「イヤな奴」で最高に「クール」だった。

実の「父親」には恵まれなかったクイルにとって、永遠のヒーローであるデビッド・ハッセルホフのように喋る車や天使のような歌声は持っていなくても、飛べる矢を放ち、しわがれた声で怒鳴る、愛すべき「親父」だったヨンドゥ。

彼の最後を看取るために集まったスタカー率いるラヴェジャーズ本隊が打ち上げる鎮魂の花火と共に締めくくるラストも結局のところ、本作のテーマは血の繋がりはなくても、人と人との絆で繋がる「家族」の話だったことがわかるラストで非常に感動的だったなぁ…。

ヨンドゥよ、永遠に!!

とそんな感じで最高だった前作に比べ、よりドラマ性も増した本作。エンドロール後のシーンではアイーシャにとっての「家族」として生まれようとしている「アダム」、つまりこれから控える3の予告でも登場していることが確定しているアダム・ウォーロックの登場の示唆も含めた、やはり更に期待が高まる続編だった。

あぁー、もうあとちょっとでガーディアンズが終わってしまうーー泣泣!!
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