アンタレス

セッションのアンタレスのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.2
アメリカ最高峰の音楽学校、シェイファー音楽院のとある一室、一人でドラムを叩く学生、アンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)。唐突に現れた同学院の教授、テレンス・フレッチャー(J・K・シモンズ)にルーディメンツ、スウィング倍テンのリズムを要求され、応えるアンドリュー。
後日、フレッチャーは初頭教室のメンバーに演奏させ、アンドリューだけを選抜し自らのバンドに加える。最高の指揮者と名高いフレッチャーのバンドに選抜され嬉々として練習に参加したアンドリューだが、そこでは尊厳を踏みにじる罵倒と共に展開される容赦のない猛練習が待っていた。
完全なる狂気に見入られたアンドリューは、一切のプライベートを捨て去りただひたすらにスティックを握る。完璧を追究するフレッチャーを見返すためだけに。

舞台は歴史と実績に裏打ちされた名門の音楽学校で、扱うテーマはジャズバンドである。が、この作品は音楽を扱っているとは思えないほど、舞台が格式のある場所とは思えないほど、激しく展開される。
明確に敵として存在するフレッチャーと、取り憑かれたように闘いを挑むアンドリューの構図は、息を呑む迫力を持っている。
J・K・シモンズの指先に至るまでの繊細かつ暴力的な演技、演奏前の声にもならない緊張感にひたすら魅せられてしまう。
演技の上手い役者に頼るだけでなく、それを更に魅せるための的確なカメラワーク、そしてラスト10分の魂のぶつかり合い。
間違いなく傑作と呼べる作品だった。
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