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セッションのdkdkdkのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.4
今回は「セッション」です。かなりオススメです。物語は、名門音楽学校に入学した主人公が、ドラマーとして「偉大」になるために奮闘するサクセストーリーといった感じですが、ストーリーよりも観るべきは演技と音楽です。本気の表情がみられます。演技と言うよりそのものです。音楽学校の鬼教官役で出たJ・K・シモンズの演技は圧巻でした。素晴らしいの一言です。違和感なく観られました。怒ったり叫んだり泣いたりしてるのに芝居がかってなく、でも棒読みでもない素晴らしい演技でした。ストーリーとしては鬼教官に見出された主人公が全てを捨ててドラムに打ち込んでいくという内容で、ドラムしか見えていないということを強調する構成だったと思います。ただ、気になることはいくつかありました。まず、邦題と物語の違和感についてです。「セッション」という題名はあまり知られていないと思いますが邦題で、原題は “whiplash“です。whiplash は「鞭打ち」という意味で、邦題の「セッション」とは意味もニュアンスも全く違います。そして話の内容は “ whiplash “ です。主人公が鬼教官のスパルタと張り合うというかバトルするような内容で、セッションとは違った印象を受けました。「セッション」と聞くと何となく「協調性」や「一緒に音楽を作り上げる」というイメージですが、映画はどちらかというとスパルタでした。原題と違った邦題をつけるということは今に始まったことではなく、特に昔は “the big sleep“ を「三つ数えろ」とか、邦題が違うものが多く、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「ホーム・アローン」のような原題をそのままカタカナにするようになったのはここ20年だと思います(こっちの方がまだマシ)。ただ、今でも原題とかけ離れたタイトルをつけやがるバカ宣伝部長は存在し、 “easy A”を「 小悪魔はなぜモテる?」(少女漫画見過ぎだバカ野郎)とか、”Butter”を「カワイイ私の作り方 全米バター細工選手権」(ヒュー・ジャックマンに謝れこの野郎)とか、“zero gravity” を「グラビティ」(映画観てから決めろブタケツ)とか、 “BIG HERO 6” を「ベイマックス」とか(ベイマックスはタイトルだけではなく、本作のセリフもベイマックスに変更されています。最悪です。)、極めつけは “the Italian job” を「ミニミニ大作戦」ということで、なんともかわいらしいですねぇー。はい、話は長くなりましたが、つまりは**** you ということです。逆に素晴らしい邦題もありますが、この話はまた改めて書きたいと思います。そして今回の邦題もアウトです。作品が良いだけに内容との不一致が残念でした。
主人公は鬼教官との出会いで「偉大な」ドラマーになるためにドラムに取りつかれるわけですが、その時に参考にしていたのがB.Richの演奏です。彼と同じ曲を弾くにあたって彼の演奏を繰り返し聴いてそのグルーヴを叩き込みます。そうして周囲を圧倒していくわけですが、やはり「セッション」というと音楽をみんなで奏でるイメージを受けるし、そもそもジャズは譜面通りに弾くことが一概にグルーヴではないと思うのだけど、鬼教官は「譜面を完璧に弾くことを求め、主人公もまたそれに応えてようとします。そのためにB.Richを聴き、全てを叩き込みますが、僕は結局彼の目指す「偉大」とは自分のグルーヴを追求することではなく、B.Richの「模倣」だったのかなと残念に思いました。
また、ストーリー上の鬼教官も残念でした。僕はこの教官のイメージが悪く、厳しい人なんだけど、愛情があって、音楽に人生捧げた主人公と一緒に音楽を作り上げていくみたいなことを想像してたんだけど、実際は愛情があって厳しいというよりはクズというか大人気なかったのが残念でした。これも、題名が “whiplash” だったら違和感なく観られたはずです。「セッション」のイメージで観てしまったので、こういう感想になったのだと思います。しかしこの映画はかなりオススメです。J・K・シモンズを含め、アカデミー三部門受賞を達成しました。
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