COZY922

セッションのCOZY922のレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.4
公開前は音楽映画だと思っていた。USや試写会で観た人の評価が聞こえてくるにつれて、この鬼畜ぶりはもはやホラーだとか、サスペンス風味だ、いやスポ根ものに近いとか、評価の多様性に戸惑いを覚えながらも期待を持って観た。確かに音楽が題材だけどガッツリ人間ドラマ。そして確かに、威圧的な緊張感が半端じゃない!絶賛する人も不快感を抱く人もいる理由がわかる気がする。

私は『頂きを目指すには努力と同じほど、したたかさと 強靭なメンタリティ( もしくは狂気にも近い盲目的信念) が必要』というのがこの映画のメッセージだと受け止めた。この映画で描かれているほどではなくとも、世の中どんな世界にも大なり小なり理不尽なことがあるのが普通。見渡すと、飄々としている人、闘争心を剥き出しにする人、クールに対応する人、ひどく落ち込むけど立ち直りも早い人・・。やり方はそれぞれだけど、何かを極めたり超一流と言われるレベルになるには、才能、努力、運、そしてやっぱり強いメンタルだとつくづく思う。

それにしても、鬼畜でとんでもないクソ野郎にしか見えない( 褒め言葉です ) J.K.シモンズの怪演が凄い。しかし、アンドリューとフレッチャー、この2人はよく似てますよね。特定のことへの執拗なほどのこだわり、自己愛、陰に何となく透けて見える気の小さい部分(威圧的な態度や暴走・暴挙はその裏返しかなと)・・。同じ極だと反発する磁石のようでもあり、天才のみが天才を見抜くことができるという典型例のようでもありました。

秀逸だけど体力や神経を消耗する映画。
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