COZY922

ランダム 存在の確率のCOZY922のレビュー・感想・評価

ランダム 存在の確率(2013年製作の映画)
3.4
量子力学的SFスリラーと言うべきかパラレルワールド系シチュエーションスリラーと言うべきか。B級感は否めないけれど、何がどうなっていて、話がどこにどう行き着くのかを見守る緊迫したおもしろさがあった。

量子力学で奇妙な現象を説明する際に例示される『シュレディンガーの猫』をモチーフにしたストーリー。ミラー彗星が地球に接近した夜、不可思議で説明のできない事象が起こる。果たしてこれは何なのか、8人はどうなるのか。

量子力学的には様々な状態が『重なりあった状態』で存在し『重なりあった状態』は観測する時に初めていずれかの状態に収束する。つまり、観測されるまではすべての可能性が多重に存在している、ということらしい。

難解だけど、確かなことは、皆毎日多くの可能性から何かを選んで生きていて、何かを選択するごとに結果も少しずつ違ってくるということ。もしも選択しなかった可能性の結果が他に存在していたら?奇妙で不穏な現象の中、人間性が露呈していきお互いの関係さえもおかしくなり始める様子と、最後の主人公の、ある意味 とても人間らしい選択は怖いけれど説得力があった。

あえて意味や原因を追求しない余白だらけの作りが設定を引き立てている。アイデア勝負かつ会話劇で引っ張る内容なので、90分未満の短い時間にまとめたのもポジティブに効いていると思う。
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