MotokiA

アバター:ウェイ・オブ・ウォーターのMotokiAのレビュー・感想・評価

2.5
■映像的には
とりあえずCGは凄すぎる。とんでもない物量とクオリティだった。
製作費調べたら3.5~4億ドルとのこと…単純にCGの物量がエグすぎてその倍以上かかってるのではないかと思った。お金と時間があればこんな規模のものできるんだな…とただただ他人事として関心した。日本の業界構造では100年経っても作れない映画。
質感や規模感のバリエーションや表現力がすごいので、視覚的には楽しめる。

よくよく考えたら立体視の映画初めて観たのかも…正直まあ前後感あるなあぐらいでたまに邪魔な感じもあったのでもしかしたら2Dでも良かったのかも…宇宙ものを観てみたいな

48fpsについては、ところところ微妙に挟み込むくらいなら正直いらないんじゃないかなと思った。フレームの情報量増やすことで逆に嘘くさくちゃっちく見える。

■内容的な感想としては
二千数百円払って3時間拘束されるアトラクション。お金的にも時間的にもちょっとコスト高すぎるかなという印象。
展開が色々あるからまあ飽きはしないけど、1週間後にはほとんど忘れてそうな内容。映画的価値があるとは思わない。
続編もこの超長尺でやるならもういいかな…以下理由。

・もはや主題が「アバター」じゃない

1作目から比べるとストーリー的にはかなり中身がなく薄っぺらい、正直120分でも十分すぎるかなという印象。
敵キャラのオッサンのバックアップがアバター入ったり、実は息子がいてそいつ葛藤みたいな描写もあったけど、まあ取って付けたような要素。終わり方からも正直3作目以降もこういう取ってつけての繰り返しが続く気しかしないので次回以降観るか悩む。
主人公はすっかりパンドラの住人だし、次男にひたすら厳しいだけの石頭。
森を捨てて海に出る理由も強引すぎる感じしか無い。いやお前らが出ていったら安全とかいう問題じゃないだろ。

あと、次男について彼の困難の克服や成長を描きたかったのは分かるんだけど、展開的に無理やり周りがつらくあたり過ぎてご都合主義感があったのも残念。
主人公が最後次男に助けられての「I see you」。いや、うるせえわ手のひら返し露骨すぎだろとしか思わなかった。


・人間の残虐性と独善的な反捕鯨を描いた映画

とりあえず人間が自然壊しまくるわ原住民を暴力で征服するわで残虐ですってとこは前回と一緒。

で、それと今回特にはりきって描かれてたのが日本への反捕鯨。
これ見よがしに捕鯨銛射出装置にすごく日本ぽい漢字のロゴみたいなの映してきたのは、なかなか興醒めした。

地球規模の環境破壊の問題と捕鯨を並列にしている、というか捕鯨問題で日本叩きするのは絶対正しいという精神が違和感しかない。ナチスやヒトラーと同じレベルで日本の捕鯨は絶対悪でOKという認識なんだなと感じた。
旧来のメディアでもエンターテイメントでも SNSでも、「こいつは吊し上げてボコボコにしてOK」という社会的な合意が得られてる対象って、発信する人も受信する人も手軽に自己承認欲求が満たされて気持ちがいいんだろうね。
そのあたり、多分今世界一影響力のあるエンタメ映画を作れる人たちのメインテーマがこれ?という感じで呆れた。

人間を超える知能をもっていてとか人間の我欲のために髄液みたいなのだけ採って後は捨てられるとか、ただただこの映画のなかのクジラっぽい生物の設定であって、現実世界のクジラや捕鯨とはなんの関係も無いよね。
自分もこのクジラっぽい生物はいい奴らだと思うし次男との心の交流は素敵だと思ったしあんなことするスカイピープルは外道だ!!と思うけど、
これを観た結果「ああやっぱ日本の捕鯨はいけない!」とか現実世界の日本人としてひとカケラも思わない。

このシナリオかいた人やこの物語に感化されて反捕鯨に目覚める人(そんな人がいればの話だけど)は自分たちも日本人と一緒に油や化学薬品やマイクロプラスチックやらを垂れ流して間接的・直接的に自分たちの大事な大事なクジラ殺しまくってる自覚は無いんだろうね。
加害者の自覚なく日本の捕鯨だけ切り取って正義のつもりなの相当滑稽だけどそういう自覚はないのかね。

毎年ハンバーガーやバーベキューになるために生まれ星の数ほど屠殺されてる牛と豚と鶏には何の同情も湧かないのが単純に不思議。
「知能が高いから尊い」という考え方って裏返すと「知能が低い者は殺してOK」という考え方になりそうだから、そういうことを論拠にするの相当やばいと思うけどどうなんですかね。
それか全員ヴィーガンが作った映画なのかな?

そういう感情に任せた我欲の暴走や他者や異文化に対する浅はかな理解でいっぱいのメッセージの暴力性が、まさに映画の中でのスカイピープルたちの性質とそっくりな気がするのですがどうなんでしょうね。

超悪口書いたけど全体的にそれなりに楽しみました。

そういう感じでした。
MotokiA

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