Vitiello

母娘監禁 牝〈めす〉のVitielloのレビュー・感想・評価

母娘監禁 牝〈めす〉(1987年製作の映画)
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ロマンポルノ映画を観たのは本作がはじめてで、救いようのないポルノ的なラストの衝撃が残っているためか手放しで褒めたくないのだが、他の方も書いていらっしゃるように前川麻子が素晴らしい。彼女のきめ細かい肌の奇跡的な震えが神経質なブルーの光を纏って写り込んでいる。特に顔のクロースアップはすばらしく、目や唇のみずみずしさにハッとする。そこだけ切り取ってとっておきたくなるほどに魅力的なシーンだった。
また、石川がチヅルに強迫するシーンにもいたく感動させられた。男が真白な肌に浮かび上がる黒点に煙草の灰を垂らす場面なのだが、肌を照らす光が特異なほど強く設定されており、しがない乳首が肌にコントラストをもつようにして描かれている。それが功を奏しているのだろう。観ているこちら側も悶えそうになる。
飛び降り自殺のシーンもよかった。風船のモチーフを用いたことがそのシーンだけでなく映画全体に強い浮遊感を与えているように思う。死を扱った強いシーンだからということもあろうが、奇妙なほど印象に残った。
結局いいところを書きまくってしまった。なんだか気分も高揚してきて、「良い作品だった」という感想に落ち着きそうなのが悔しい。
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