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スリーピング・ボイス 沈黙の叫びのmhのレビュー・感想・評価

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フランコ政権が行った共和派(人民戦線側の特に共産主義者)への非人道的な弾圧が題材。
スペイン内乱がはじまるまでが「蝶の舌(1999年)」だったので、スペイン内乱が終わったあとのこれはちょうど対になるような時系列。
密告者があちこちにいる当時の状況や、即決裁判で死刑判決を受けすぐに銃殺とか、フランコ政権のやばさが凝縮されてる。
このあたりのスペインが複雑すぎるのは、フランコ政権に弾圧されてる共和派がかわいそうって二元論では語れないところ。共和派はスターリンの息がかかった共産党軍にほぼ牛耳られてる。
見た目は現政権に対するレジスタンスという風袋だけど、実際はかなり危険なひとたち。そのあたりがこの映画ではわからない。(「ゲルニカ(2016年)」ではそのあたりもフォローしているので、結果的に難解になってしまっている)
体制側をサポートしているローマ・カトリック教会はフランコ政権で唯一許可された宗教。フランコ政権下ではカトリック教会ですらやばい! という扱いなんだけど実際は、共和派の連中に虐殺されたひとたちでもあるので、弾圧に手を貸す理由もちゃんとある。(んだけど、この映画ではわからない)
反ファシストや反独裁のプロパガンダという点においては優秀だけど、あまりにバランスを欠いているのも気になるところ。そんなわけで見たあとはちゃんとぐぐったほうがいい映画だった。
役者さんの演技良かったなぁ。そのおかげで怖さが倍増していた。
ラストの付け加えたかのようなハッピーエンド良かった。
面白かった。
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