岩井俊二の映画をアニメにするとこうなるんだと、そこにちっとも違和感がなくてただただ驚く。水彩画のような淡い雰囲気と、赤や青や緑の清く柔い光。学校も街並みもどこもかしこも美しい。エンドロールは本編とは少し違う、今日マチ子さんのイラストみたいな繊細さがとても素敵だった。
中学と高校ではそれほど性格も変わらないのかもしれないけど、花もアリスもすでに実写の”花とアリス”のふたりで、不思議と懐かしい気持ちになったしほっこりした。
花はとっつきにくくてちょっぴり傲慢に思えたりもするんだけど、なんだかんだ繊細で可愛らしいし、アリスは素直で優しい、しっかりしているのかと思いきや併せ持つ子供っぽさがたまらない。蒼井優は声も本当にいいよなあ。いたずらっ子みたいでふとした瞬間にきゃーかわいい！てなる。
取るに足らないようなことも、こんな風に微笑ましく、特別な青春の物語に仕上げてしまう岩井俊二はやはり凄い。
穏やかな雰囲気映画が観たくて借りたら、思いがけずおじさんの長い毛のシーンとか大爆笑したし、お父さん(平泉成)にちゃんと似てるアリスとか、どうでもいいキャラクターのまんまるの目とか、笑いどころもあって期待以上。気持ちが満たされちゃった。また花とアリスも見たくなった。
