うめ

エレファント・ソングのうめのレビュー・感想・評価

エレファント・ソング(2014年製作の映画)
3.8
 ある精神病院の一室で行われる心理劇。原作が戯曲なので、映画でもほとんどがその一室で繰り広げられる。そのため、単調になりそうだが、映像が終始美しい、そして主人公マイケルの言動の理由が気になるため、飽きることなく見られる。
 ストーリーは観ている途中である程度、展開が読めてしまうし、私の場合は実際に読みが的中してしまって、最初は少しがっかりしてしまった。また少し理解ができない点も残った…。だがよくよく考えたら、そうした余白、行間のようなものが、この映画の魅力なのかもしれないと思った。
 マイケルは一見、自分の計画を実行に移すために、グリーン院長の質問にも茶化す態度を取っているように見える。だが、実際にマイケルは途中、涙を流す。そこに見えるのは、母親のショール、舞い散る花びら…。マイケルは覚悟を決めていたのか、それとも救いを求めていたのか。母親をどう思っているのか。グザヴィエ・ドランの演技をどう捉えるかで、マイケルの心理の捉え方がそれぞれ異なるだろう。またマイケルを理解するのに、グリーン院長とスーザンの関係は非常によく効いている。
 結末を知った今、改めてもう一度観ることでまた違う点に注目できそうだが…やっぱり早くグザヴィエ・ドランの作品を観なければ…(笑)
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