人を"分かる"と言うこと自体がズレているのかもしれない.
ヴィンセントは"めちゃくちゃな"おじいさん. 酒に溺れた毎日を送り, 娼婦と夜を過ごすことが多く, 賭け事で借金がある. "周り"からは嫌われ者, ひねくれ者と呼ばれている. でも, 隣に越してきたオリバーの目から見てみると違った面がある.
嘘の話だと思っていたことが本当だったり, いじめっ子から守り, 身の振方を教えてくれたり, 奥さんを心の底から愛していたり...
ヴィンセントは人に何か(嫌味とか)を言われた時に,
「お前はおれの何を知っているんだ」
と必ず言っているように見えた. その人の目から見えたものは一面だけであってその人の全部を知ることなんかできないのかもしれない.
この映画の面白いところは多分, 登場人物の目線を変えればいくらだって話が変わるところだ. 借金を貸してあげている人から見れば, 返すはずのお金をお酒とギャンブルに注ぎ込む姿は紛れもなくクズである.
大事なのは何を大切にするのか. どんな生き方を望むのか.
人からどう思われようが, どう言われようがいいじゃないか. 胸を張って生きていけるのであれば.
そんなことを教えてくれるような映画でした.
しゃっけ