あるてーきゅう至上主義者

モアナと伝説の海のあるてーきゅう至上主義者のレビュー・感想・評価

モアナと伝説の海(2016年製作の映画)
3.8
ここ10年のディズニー映画では圧倒的な傑作だったズートピアに較べたら、さすがに分が悪いかな…。とはいえ、いわゆるディズニー映画の「プリンセスもの」の中では、屈指の作品であるのは間違いない。

導入部は安定のミュージカル。このへんの歌と踊りは、しっかり伝統を踏襲している。しかし舞台が欧米圏(厳密にはハワイの神話がモデルとのことなので、欧米圏といえなくもないけど、ひとまず置いて)ではなく、自分の力で運命を切り開いていく女の子が主人公ということもあり、ムーラン(素晴らしい作品です)を思い出した。その影響か、世界のディストピアぶりや、バトルシーンでの熱さは特筆もの。特に後半にかけてモアナが追い詰められていく場面では、海のただ中にいることもあり、ディズニーのプリンセスものらしからぬ、圧倒的な絶望感と孤独が際立つ。その一方で明るさや楽しさとのバランスもしっかりととられており、もうひとりの主人公ともいえるマウイの明るさに救われる。

この映画はプリンセスものというより、モアナたちが冒険を通して成長していく、「バディもの」としての要素が強いように感じられた。この点はズートピアにも近いのでは。一方で脇を固めるキャラクターも光っており、おばあさんと鶏のヘイヘイが癒しだった。
併映の短編アニメも沁みた…。