ももすけ

スキマスキのももすけのネタバレレビュー・内容・結末

スキマスキ(2015年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「チェリまほ」以来注目している俳優・町田啓太さんの主演作ということで視聴。

時代的に既に古くなっている表現や思想があり、否定される向きがあるだろうことは容易に推察されます。

のぞき=窃視は犯罪。

性別に関わらず、対象を一方的に性的消費の具にすることは否定されるべきであることは間違いない。本作ではたまたまイーブンだけど、これを「ステキな恋愛の端緒」に矮小化すると、若者に誤学習させてしまう。
このような内容を、魅力的な町田啓太さんと佐々木心音さんにさせてしまうことは相当に罪深い。

と、ここまで否定しつつも、抗えない魅力があることも確かなんですね。

やりたいこともなく毎日をダラダラと生きるヘイサクは、スキマフェチ。
隙間の向こうに見えるものに興味を惹かれる性癖が高じて、建築科を目指すが成績が悪すぎて試験は落ちまくり、大学の二部(夜間)に何とか潜り込んでいる。

童貞だが、毎夜カーテンの隙間から見える女性を観察するくらいで、自ら求めていくことはない。
一抹の物足りなさを感じながらも、友達と毎日、面白おかしく過ごしているヘイサク。

ところが、眺めるだけだったスキマの向こうの女性・文緒が、実生活で自分に近づき、どんどん踏み込んでくる。ともに時間を過ごして、好きなものを知り、共有して、やがて同じ秘密を持っていたことを知り、性を分かち合う。

「ヘイサクくんも、このスキマから出てきた。スキマの向こうに何があるんだろうって」
という文緒のセリフはなくもがなかなとは思ったけど。

スキマの向こうに興味を惹かれながらも、決してスキマの向こうに行こうとはしなかったヘイサクが、スキマをこじ開けて再び生まれる物語だったわけですね。
ヘイサクくん、その後勉強すごく頑張ってました。
いつか、文緒ちゃんを追っかけて渡米すると思います。

これは、文緒の存在を魔法に置き換えれば、そのままチェリまほになるわけで。
とっくにその時代を通り過ぎてきた私なんぞは郷愁やら、やたら若い人を応援したくなるやらの作用あり。
この年代の少年少女にとってみれば、胸の高鳴るようなファンタジーなのだろうなとも思います。
ももすけ

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