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龍三と七人の子分たちのtakeman75のレビュー・感想・評価

龍三と七人の子分たち(2015年製作の映画)
1.5
『ソナチネ』の後に『みんな~やってるか!』、『座頭市』の後に『監督・ばんざい!』と、これまでも自身の代表作と言える作品を手掛けた後に、決まってその成功を「ぶっ壊す」傾向のある北野武監督だが、今回も見事にやってくれました。「アウトレイジ」シリーズで成し遂げた成果を全て帳消しにする様な「ビートたけし」ならではのお笑いジャンクフード映画として、今回も破壊力は抜群だ。凄まじく下らないギャグの応酬と、目眩がしてくるほど行き当たりばったりな展開が、観る者の脳に単なる「笑える」「笑えない」を超えた、ある種の「痺れ」にも似た感覚を植え付けてくれるのが堪らない。
以前よりカンヌやベネチアなどの映画祭に呼ばれた際も、必ずTVのコント風衣装を身に着けて登壇する事で「評価されすぎる」事を意図的に避けて、自身の映画作家としてのバランスを保ってきた北野監督にとって、勿論今回も「分かってて」やっている事は明白であり、敢えて「自爆」行為に及んでしまった彼の「癖」を寛大な気持ちで受け入れ、次なる新境地に挑むまでの通過儀礼として、このジャンクフードを貪るのがファンとしての礼儀。ここは監督と一緒に「こりゃひでえなww」と、呆れ顔で共有できるくらいの器のデカさで臨みたい。
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