園田宏は美大を卒業後フリーターとして生きていた。ある日自分が胃がんであり、あと三ヶ月の命であることを知る。そんな中で知り合ったのが女子高生、真衣だった。二人は反発し合いながらも惹かれあっていく。
主人公園田宏を演じるのがRADWIMPSのボーカル野田洋次郎だ。彼の声を聞くと落ち着く。高校の頃毎日のように聞いていたからかもしれない。いきなり主演でどうなるのかと思ったが、彼の口から出てくるセリフには不自然さはなく、むしろ自然と入ってくる。余命三ヶ月という役柄の儚さとその声がぴったりと合っていた。
そして、女子高生を演じるのが杉咲花だ。ドラマ夜行観覧車でも演じたわがままでどうしようもない感情をどこに持っていけばいいのか分かっていないような思春期の役をさせたら右に出るものはいないんじゃないだろうか。こっちの心までぎゅっと捻り潰されるような感覚が忘れられない。
キャストの豪華さもすごい。大竹しのぶ、宮沢りえと、RADWIMPSファンの二人が出演している。そして、佐藤健の使い方もなんとも贅沢なキャスティングだ。リリー・フランキーの存在感もなんとも言えない。
手塚治虫が病床で書いた日記が元になっているというこのストーリー、とても儚い。中でも野田洋次郎と杉咲花がプールで泳ぐ場面はとても美しい。
彼が最後に追い求め、見た風景はなんだったのか。