そりっどあいぼりー

幕が上がるのそりっどあいぼりーのレビュー・感想・評価

幕が上がる(2015年製作の映画)
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中盤の演劇のシーンはハッとさせられたし、ラストの切れ味は素晴らしい。主演5人の演技も良いし、個人的にはアイドル映画として成立していると思った。しっかりとしたキメのシーンがいくつかあったことが大きい。

でも監督の悪い癖は、悪い癖は、折角盛り上がった流れをぶち切るかのように謎のメタギャグなどを入れてくる特有の"照れ"にある。彼は真面目に物語を語る勇気がない。そこが全てを台無しにしている。特に「メタ的なギャグ」を物語内でやってしまうと、その瞬間に「これは映画だ」と観客が自覚することになり、せっかく高まっていた気分が一気に現実に引き戻されてしまう。お気楽なところでのメタ的なギャグならばまだ分かるが、物語としてぐいぐい盛り上げるべきところで、わざわざゴダールようなことをやる必要はない。

このようなくだらない"照れ"のシーンを削って繋げて、センスのない独白をなくしたことで出来上がる「普通に面白い映画」を観たかった。