ナガサワ

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカのナガサワのレビュー・感想・評価

5.0
今までちょこちょこ伏線は張られていたアベンジャーズが出した街の被害はどうするのか問題が取り上げられていて面白かった。
日本だと古くからある「ウルトラマンが踏み潰した街はどうなるのか問題」。
アベンジャーズファンの観客からすれば、一見すると「また政府がいらんことしてる」みたいに見えるけど、これは政府としては当然の主張だ。
アベンジャーズは壊れた街をせっせこ再建したりはしないからだ。
つまり彼らは壊れた街の責任を取らない。
責任をとって再建するのは政府の役目。
もちろんアベンジャーズが戦わなければ、より大きな被害が出ることは言うまでもないが、現状だと「人類の滅亡を防ぐために100万人の命を犠牲にしました。でも助かった人数を考えれば問題ないよね」がまかり通ってしまう。
大袈裟な例だけど、これが許されていたのが現状だ。
「それ本当に100万人を犠牲にする必要あったのか?」「もっといい方法があったんじゃないか」これは至極まっとうな意見だし、だったら責任を取っている政府が「もっといいと思う方法」を企画するのは当然の流れだと思う。

こうなってしまった1番の原因は行政組織である「シールド」が崩壊してしまったこと。
もともとは悪と戦うアベンジャーズの仕事と、街を再建する公共事業が同じ政府の仕事だった。
シールド崩壊前までは、悪を倒すのは政府(シールドに属するアベンジャーズ)だし、壊れた街を再建する(責任を取る)のも政府だった。
つまり自分でしたことに自分で責任を持つ状態だった。
それがシールド崩壊によりアベンジャーズが独立したことで、悪を倒す仕事と、責任を取る仕事が分離して、政府は責任を取る仕事だけをしている。
分離してしまっているというおかしな状況を元に戻しましょうって言っていうのが政府の主張なんだから、やっぱり政府の言っていることは何一つ間違ってないように思える。

このへんにスポットを当てて、アベンジャーズ内で意見を対立させるのが面白い。
前半ではキャプテンアメリカが「政府に属さない」の一点張りで暴走してしまっているように描かれているが、後半できちんとキャプテンの正当性を示す展開になっていて見応えがあった。

そしてスパイダーマンの登場が嬉しい。
やっぱりスパイダーマンはかっこいい。
空中を移動するキャラとしてはアイアンマンとファルコンがいるが、彼らと大きく違うのは、アイアンマンとファルコンは空中では頭を前方に向けて移動するが、スパイダーマンは足を前方に向けて移動する。
頭から突っ込んでくるのは若干バカっぽいが、足から突っ込んでくるのは新体操の競技のようなカッコよさがある。
どっちも好きだけど久しぶりのスパイダーマンはやっぱり目を奪われる。
あとアントマンとスパイダーマンみたいにコメディー性質なヒーローがいると戦闘がエンタメ化するから、今作の戦闘はかっこいいだけじゃなくて楽しかった。