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スポットライト 世紀のスクープのaykkrのレビュー・感想・評価

4.9
エンドロールまでぜひじっくり。
映画というよりドキュメンタリー。
ネタバレ、という程でないかもしれませんが細かく書いてしまってるので、ご承知の上読んでください。

あらすじ---
「スポットライト」とはボストンの地元新聞ボストングローブの特集欄。

スポットライト欄のデスク、ロビーが持ちかけられたのは、カソリック神父による子供への性的虐待の深堀だった。
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この映画の良いポイントはいっぱいありますが絞って4つ書いてみます。

<1.視点が悪者を作る事でなくジャーナリズムの姿勢にあること>

カソリック教会との争いについてかと思いきや実際はジャーナリズムとは、という視点で終始語られます。

地道に資料を当たり、人の話を聞くこと。本当に社会を変えるために、いつ、どのレベルの内容を伝えるかを考えること。

この人達の努力によってもたらされた影響の大きさがエンドロールに表れています。

<2.映画の枠を越えて本当に届けるべきメッセージと助ける先を出していること>
日本語字幕はありませんでしたが、エンドロールの最後には「同様の経験をしていたら、公式サイトからご連絡を」という文言がありました。

元の公式サイトに行くと、リソースというリンクがあって、実際の被害者のインタビュー動画やホットラインの電話番号、SNAPのサイトのリンクがあります。

この映画もスポットライトチームと同じく社会を変えようとしている、アカデミー賞にメディア賞があったら入れて欲しいくらいです。

<3.誰しもいつも気付くべきことに、気づけるわけじゃない>
誰しもそれが変だ、ということを何となく見過ごすことがある、という所です。今は気づけた人でも昔は見過ごしていたことだって、あるのだと。

気にするべき事は常にあり、常に絶対正しく判断はできません。ちょっと話はずれますが、いじめに気付かなかった親や先生をあげつらうことしかしないニュース(もどき)の関係者とかジャーナリズムについての姿勢をこの映画を見て考えたら良いと思います。

<4.宗教を否定していない>
多くの日本人の宗教感だとで「だから宗教は」という感想を持つ人もいると思います。

が、この映画は宗教を責めておらず、あくまでもシステムの不備を追求しています。

留学時代、教会(プロテスタントだけど)に留学中すごくお世話になったこともあり、日本人の宗教感で育ったけど、教会がいかに普通に日常に溶け込んでるかを垣間見た人間としては、この映画は宗教を否定しないよううまく書かれていると思いますし、そうあるべきだ、と思います。
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