福福吉吉

スポットライト 世紀のスクープの福福吉吉のレビュー・感想・評価

4.0
◆あらすじ◆
2001年、マサチューセッツ州ボストンの日刊紙「ボストン・グローブ」の編集局長となったマーティ・バロンは神父による子供への性的虐待事件について特集記事担当の「スポットライト」のチームに調査を命ずる。チームは1人の神父の事件を調査していくうちに性的虐待が大規模であることを掴む。

◆感想◆
宗教が生活に根付いているアメリカにおいて、神父による子供への性的虐待事件の真相を追った新聞記者たちの奮闘とそれによって暴かれた事実の大きさを描いた作品となっており、必要以上に劇的にせず、細かな事実を積み上げて公表までたどり着いた部分を淡々と描いているところに好感を持ちました。

本作の見どころであり、怖さでもある部分として、一つの事件を追っていたはずが大規模で常習的に行われていた事件であったことが挙げられると思います。1人の神父だったはずが、13人へ変わり、それが87人になったときの事の重大さが画面越しでも伝わってきました。

もちろん、これを明らかにするまでボストン・グローブ紙のスポットライトのチームの何重にもわたる取材と調査が行われており、その中で相手側からの拒否も幾度となく遭っていますが、それを殊更に大きく見せなかった本作のスタンスが作品の観やすさに繋がっていると思います。特に宗教問題である以上、教会や信者の拒絶反応は大きいのですが、本作を観ていてその映像を観てもそれが次への好奇心を妨げていませんでした。

ストーリーが終盤になり、スポットライトチームの緊張感がドンドン高まっていくのですが、それとともに気持ちもどんどん盛り上がっていって、大勝負をしている感じが伝わってきました。

マスコミという存在は必要だけど、時にその存在が疑わしくなったり、時に敵のように思えたりしますが、本作を観るとマスコミの必要性を改めて感じます。とても良い作品でした。

鑑賞日:2024年2月19日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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