何だかぬるっと始まって、散漫な調子とだらだらしたテンポ感が続いて、うっかり退屈しかけた。
でもテーマと規模を考えたら完全にコーエン兄弟にしか撮れない映画だと思う。クライマックスあたりでハッとなった。
あいかわらず初見でわからせようというつもりがない。ノーカントリーもそうだけど、コーエン兄弟の映画を一回見て満足できる人は相当映画を見るのが上手なんだろう。
舞台は昔のハリウッドだけど、カットの声がかかったらすぐにスマホさわりだしそうな俳優陣の雰囲気もコメディ感あってよかった。
コメディが前面に出れば出るほどスリリングな気持ちにさせられる。彼らのシニカルの矛先がどこに向くんだろうというハラハラがある。
日本版のパステルカラーフルなビジュアルはねらってやっているんだろうか。あれでなんとなく面白そうと思って入った観客なんか罠にハメられたようなもんじゃないか。「倫理的に」ひどいと思う。
