ターミガン

心が叫びたがってるんだ。のターミガンのレビュー・感想・評価

心が叫びたがってるんだ。(2015年製作の映画)
3.5
超平和バスターズ3部作の2作目。
揚羽高校2年2組のクラスメイト4人を中心とした青春物語。
主題となるメッセージも分かりやすいので、比較的見やすくて良作だと思う。

中学生だけでなく高校生って、現代じゃほぼ義務教育みたいなもので、年齢が同じってだけで1つの空間に固められる。けど当然、みんな成熟度も違うし色んな価値観が在る。
そんな空間だからこそ、お互いに分かる部分や、分かってたつもりでも全然知らなかった部分があったり、摩耗したり。
それでもひょんな事がキッカケでお互いに高め合えたり、一致団結したり。
学生時代ってこうだったよな〜と思い出させる物語だった。

そんな学生生活の中のメインに据えられてるのは「後悔と自責からくるトラウマ、そしてその克服」といったもの。

これ一番ピックアップされるのは、ヒロインの成瀬順の心模様だけど、他の主要メンバーの坂上拓実も仁藤さんも田崎くんも、全員がそれぞれに抱えてて、ちゃんと4人全員が自分なりの向き合い方と歩幅で乗り越えようとしていく様が描かれているのが良いと思う。

ちゃんと考えられてシナリオが作られてるなぁと思ったし、男女のキャラクター設定も分かりやすかった。
陰→坂上拓実 陽→田崎くん
陰→成瀬順 陽→仁藤さん
ってとこだろうか。
ストーリー展開とかオチの付け方とかも、この陰陽関係を踏まえると、なかなか効いてくるなと思った。

そんな風に見てて改めて感じたのは、学校という空間の「貴重で特別な時間」と
思春期の「後悔とトラウマの克服」っていうのは、歳を重ねて大人になればなるほど、何だかかけがえのないものだったなぁと理解できたり、それらの経験を経てるか否かで後が分かれる貴重なもんだったのだろうなぁとノスタルジックな気分になった。

こうやって明文化できてしまっている今、どれだけそんな学生時代に返りたい&戻りたいと郷愁に浸っても時間は巻き戻らなくて、学生時代にそんな事を教えてくれる人も周りに居なかったからこそ、閉塞感を抱いてる現役の10代の子達が、こういう作品を通して色んなことを感じてヒントにしてもらえたらいいなーと思った。
(※いったいどういう感情だ 笑)

演出面では、2015年作品で成瀬順はガラケーってのも家庭事情を連想させやすいアイテム設定だし、背景の書き込みや、町並みの陽射しの跳ね返りと夕闇の影の具合が綺麗だった。

多くの人が経験してきているであろう主題だし説明もしやすいから、人にオススメできる作品でした。