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はなちゃんのみそ汁のiiparaのレビュー・感想・評価

はなちゃんのみそ汁(2015年製作の映画)
3.5
24時間テレビのドラマでもあったので、ストーリーは全部知っていたが、これはこれでなかなかいい映画に仕上がっている。

何より、広末涼子というのは、本当にいい役者なんだなと思った。今までは、「おくりびと」や「鍵泥棒のメソッド」で、賞を取っていても、作品に恵まれた棚ぼた式女優だと思っていたから、改めてこの作品を見て、ちゃんとがん患者として、ひとりの女性として、凛として存在する彼女を見て、本当にいい役者だなあと感じた。宮沢りえ同様、彼女も私生活のすったもんだを、演技に昇華しているんだと思う。何より、この映画では、本当にはなちゃんのお母さんに見えた。

はなちゃん役の子は本当に可愛くて、それだけでもホロリとさせられる。

毎日の食事の大切さや暮らしの大切さもよく伝わる。涙に訴える作品というよりは、病気になっても、地に足をつけて生きていくことの大切さがよく描かれていたと思う。

三つ子の魂百までというから、はなちゃんは、小さい頃にお母さんを亡くしても、お母さんが生きてる間に一生分の愛や知恵をもらって、一生豊かに生きていけるすべをわずかの間に学んでいたと思う。自分がいなくても生きていける力を身につけさせること、これが親から子供への最大の教育なのだから、はなちゃんはわずか5年で、一生分の愛をもらったんだろう。

そういう意味で主人公ががんで亡くなる話なのに、悲しみではなく、希望を描いている作品だと思う。
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