大林宣彦が監督した火曜サスペンス、父を亡くした幼女のトラウマが独占欲を肥大化させ、善悪の区別がない無垢な悪意が大人達に降りかかる。
舞台は日本だが教会から物語りが始まりウェディングドレスや洋館など日本で撮影できる範囲で西洋的な舞台を作り上げており、日本でも西洋でもない奇妙な虚構性が構築されている。
見事な美術とバキバキに決まったカットなど幻想的な舞台設定とは対照的に、役者達の大仰な芝居とチープなSEなどテレビ特有の演出が同居する不均衡なバランスの上に成り立つ奇妙な構造で低予算とチープである事が逆に唯一無二の味付けになっているのも良かった。
途中までオカルトホラーだと思って鑑賞していたが、幼女の行う殺害方法がどれも物理的で「エクソシスト」というより「悪い種子」のサイコスリラーが下地にあるように見える。