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日本のいちばん長い日のuminoのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(2015年製作の映画)
3.7
常にピンと張り詰めた緊張が伝わってくる、とんでもない映画だった。登場人物の重圧が見る側にも押し寄せてくるようで、見るのが辛かった。たぶんもう二度と見ることはないかな。

本作における昭和天皇の描かれ方には大きな議論があると思う。始めから終わりまで、彼のポジションは一貫して「味方」だった。すなわち終戦派、終戦に身を捧げた悲劇のエンペラーとして描かれていた。
これは一面的な見方に基づいた演出(つまり彼の戦争責任から目を背けるということ)にも捉えられ、いくぶん軽率なものに見える。しかしその一方で、昭和天皇という一人の反省した人間を美しく描くということ自体が、聴衆に向けたひとつのメッセージになっていたとも言えるかもしれない。

そういう点もあって手放しで賞賛したくない(賞賛されてほしくない)ので評価を少し低くしたけど、映像や演技はとにかく凄かった。台詞が聞き取りにくいのも、登場人物が分かりにくいのも、このリアリティ溢れる素晴らしい演出とトレードオフだと考えればよいと思う。いい体験をさせてもらいました。
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