エノモト

怒りのエノモトのレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
4.5
色んな、言葉にできない怒りが詰まってた。
信じることができなかった自分への怒り。信じてしまった自分への怒り。そして社会に見て見ぬふりをされてきた人たちのやり場のない怒り。

見ている側の自分達も、どこかで信じることができなかったし、どこかで信じてしまっていたし、見て見ぬふりをしている側の人間だった。
だから見てるだけでも、こんなにも心が抉られるような苦しさとどうにもならない虚無感を突きつけられたんだと思います。

人間怖い映画ってたくさんあると思うけれど、今作は怖いというより人間悲しい映画でした。両者は似てるけど、自分の中では怖いは逃げ場があるけれど、悲しいは逃げ場がないというイメージです。

容疑者3人とも絶妙に似てて、終盤まで全く誰が犯人が分からなかったのでミステリー映画としても楽しめましたが、今作はそれに加えて役者の熱のこもった演技に圧倒され、感情を激しく揺さぶられる素晴らしい作品でした。
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