「もう一度、人間を信じましょう」
ゴジラ映画史どころか、日本映画史に傑作として名を刻んだ作品。
すでにマニアや評論家によって優れたレビューは出ているので、自分からは初めて本作を観た時の衝撃を記そうと思う。
正直なところ、最初のうちはマニア向けかな、と思って鑑賞していたのだが、観ていくうちに、これは東日本大震災のシュミレーションであることがわかり、戦慄が走った。
僕は福島県出身の被災者なので、今作で描かれるすべての事態に震え上がった。それと同時に、終盤の、未曾有の危機に対してのフィクションならではの理想の描き方には感動を覚えた。
今作は、庵野監督の技量がいかんなく発揮されていたと思う。カメラワーク、画作り、エヴァを思わせるシーンや音楽。すべてが嵌まっていた。奇跡的な出来と言って良いだろう。
怖いだけじゃなく、ユーモアの描き方も巧み。何度か吹き出した。そういうところも、しっかりとエンタメになっていて好感が持てる。
東日本大震災の記憶を呼び覚まさせる本作は、恐ろしくもあり、同時に、人間の強さを描いた作品として、末永く観られていくであろう映画になっていると思う。記念碑的傑作だ。