aka

シン・ゴジラのakaのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
4.5
ゴジラ映画にも庵野監督にもそれ程思い入れは無いけれどずっと期待していた久々の国産ゴジラ。予告を見た時に感じたのは、このゴジラの大きさともなると怪獣映画というよりディザスター映画だな。だったんだけれどあながちその感想は間違っていなかった。
まず最初の入りからして「おや?この映画は想像していたようなゴジラでは無いぞ?」と驚かされる。演技派、実力派と呼ばれるそうそうたる面々が勢揃いして会議が始まる。政府は原因不明の緊急事態にどう対応してゆくのか会議の中で次々と決められてゆく過程が面白い。
このシン・ゴジラという映画は言ってみれば「会議映画」とも言おうか、それ程に閣僚達、そして実際にゴジラに対応する「巨大不明生物特設災害対策本部(略して巨災対)」の会議と研究対応がゴジラとの直接的な戦いよりもむしろメインになっている。そしてその、早口で捲し立てられる殆ど意味の分からない単語が飛び交う言葉のやり取りこそ最高に面白い。全く退屈させない会議に継ぐ会議のオンパレードが楽しくてにやけてしまう。
だからといってゴジラそのものが掠れてしまうわけではもちろん無い。最初から全体像を表すわけでは無く、徐々に東京湾から上陸してくるゴジラ。我々観客はもちろんゴジラを観に来ているのだからそれが我々の知る、そして予告編やポスターにも描かれているゴジラであると信じて疑わない。来たぞ来たぞ!と期待が最高潮に達した時に見せつけられる、あのゴジラとのファーストコンタクトの衝撃と来たら!
そこで思い知らされる。このゴジラは我々の味方となりうるゴジラでは無いのだと。けっして意思疎通の出来る生き物ではない、バケモノなのだと。あのファーストコンタクトのインパクトだけでも映画館で観る価値があると思った。

エヴァのセルフパロディと思われる要素も盛りだくさんらしいけれどエヴァをあまり知らないので何とも言えないが、演出はどれも痺れる程にかっこよくテンションが上がりっ放し。
そしてとにかくゴジラが恐ろしい。中盤の最も大惨事が起こるシーンなど恐ろしくてたまらなかった。
だがただ恐ろしいだけでなく、「今の日本という国」が、もっと言うなら「今の日本政府が」ゴジラという本来有り得ない、想定外の危機に陥った時どう立ち上がりどう戦うのか、そして何を選ぶのか。様々な人々が連携し、武力だけでなく頭を使って未曾有の事態に対応してゆく。そういった興奮と確かな希望も抱かせる傑作だったと思う。
もちろん納得の行かないところやツッコミどころは盛りだくさんだけれどそれらひっくるめてこまけえことは良いんだよ!と言える程に面白かった。
aka

aka