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シン・ゴジラのシノのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
4.5
開始1分で既にワクワクして引き込まれたし、10分後にはDVDを買うと決めた。ゴジラの鳴き声を映画館の空間で聴くと鳥肌が立つ。そして出演者が役柄上またその他の理由で大変早口であるけれど、シンゴジラの場合それぞれの台詞を深く聴くことに意味があるわけでもなく、物語の展開をリズミカルにしていた。また、そこそこ有名な人が一瞬だけ出演しているのがちょくちょく気になった。多分全ては把握できてない。

これはもはや怪獣映画ではなく、社会、日本への風刺映画としての意味合いが大変強い。ゴジラは常に日本を悩ませるもののメタファー。ゴジラは今回も、人それぞれ解釈は違うだろうがやはりそのような役割を果たしている。それは根底にある原子力の比喩を含めさらに広義に渡っていた気がする。形式的な会議を開かなければゴジラへの対策を講じることができない政府、アメリカには頭が上がらない現体制への皮肉がたっぷり。

ゴジラシリーズは全てではないけれど、大体鑑賞しているはず。これで改めてゴジラについて考えると、わたしは小さい頃からゴジラが好きだったことを思い出した。今でも、恐い怪獣が出てくる映画はあまりというか、全然好きではないけれど、ゴジラは怪獣が主題の映画でないにせよこれまで見ているし、そういえばゲームもやっていた。

それは多分ゴジラが完全なる悪役でもヒーローでもないからだ。ゴジラの叫びにはいつも怒りと悲しみが含まれているように聞こえる。地球上で最も進化した生物ゴジラ。涙さえ流しそうな声が聞こえる。そして、そのゴジラが一見野蛮とも思える破壊行動によって日本や人間に何かを伝えようとすることは、この社会において破壊行動が批判され疎まれながらも、有効な手段の一つとして使用され続けていることへの皮肉だったりして。


これで長谷川博己も一級俳優の仲間入りだな!
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