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前科おんな 殺し節のスギノイチのレビュー・感想・評価

前科おんな 殺し節(1973年製作の映画)
3.0
「前科」「おんな」「殺し節」、どの単語もそれぞれに全く掛かりあっていない。日本語を大胆に活用したタイトルだ。

内容は池令子、杉本美樹、暴力、おっぱい。以上、東映ファンはこれで内容の殆どを推察するはずだ。
地井武男はちょい役でしかないが、登場する度に毎秒暴れているのでかなり印象が強い。

葉山良二に父親を殺され、自身も輪姦された池令子。修羅の女となり、ヤクザ共への復讐を誓う…
内容はこれだけだが、池令子が頭脳と身体を駆使して2つの組の潰し合いを画策する、という『用心棒』的なプロットは、単純な二項対立になりがちないつものピンキーバイオレンスよりもちょっと凝っている。
さらに、刑務所内での杉本美樹とのタイマンからの友情は『あしたのジョー』や『暴力脱獄』の如しで、百合というよりホモ的な関係性を築くが、出所後に敵対してしまうというシナリオが盛り上げてくれる。
監禁された池令子を縛り上げ、大きな乳房にタバコの火をズブズブとめり込ますシーンは素晴らしい。

地井武男は葉山良二と対立するイケイケヤクザ、というより愚連隊にしか見えないのだが、『仁義なき戦い 広島死闘篇』(同年製作)の大友勝利のようなカッコをして奇声を発し、日本酒をラッパ飲みしては火炎攻撃などして暴れまくっている。
ポジション的にはまんまと池令子に焚き付けられるバカヤクザでしかないのだが、やたらテンションが高く生き生きしているので池令子よりも地井武男が気になってしまう。
葉山良二の様な典型的ヤクザの事務所に正面から殴りこんだり、はしゃぐように手榴弾を投げまくったり、『不良番長』ならばこいつらが主役側になったっておかしくないよなあ。

とはいえ、あくまで主役は池令子なので、最期は美味しい所を全て持っていく。
さらに今回は全スペックが上がっていて、頭脳もセックスも作中最強。しまいにはスナイパースキルまで披露。
トレンチコートを着ていて貫禄たっぷりの池令子。これで当時20歳?
当時年齢をサバ読んでいたらしいが、まだサバ読んでいるんじゃないか?
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